自殺/末井昭
ダイナマイト自殺により母親を失った著者が自殺について書いたエッセイ 。
仰々しいタイトルの本書だけれど、内容は堅苦しく自殺を考えるようなものではなく、自殺を肯定も否定もせずに、自殺者には寄り添い、生きるのが辛い人達には楽に生きられるようなヒントを与えてくれる内容だった。
幼少期に母親がダイナマイトで自殺するという強烈な経験を持つ著者の失敗だらけの自分の人生、それでも自分は自殺しようとは思わないといった考え、自殺に関係する活動をする人たちへのインタビューといったものが書かれている。
印象に残った話が二つある。一つは月乃光司さんへのインタビュー。
この人は思春期に醜形恐怖症になって人とうまく関われなくなったのをキッカケに、うつ病やアルコール依存症に陥ったそうなんだけど、この人がインタビューで自分の半生を語っていて、共感できる所が多数あった。へたれだから自殺できないとか。あと、上手く生きられないのは欲望の裏返しだからっていう考えはやたら腑に落ちて、少しでも楽に生きて行くための重要なヒントのような気がした。
もう一つは聖書の内容から考える生き方についての話。
ここの話の中で、著者が傲慢な自意識は捨てて、相手の中に自分自身を見ることといった内容を書いているんだけれど、自分にとっては特に重要なことのように感じた。