個人的な体験/大江健三郎
脳障害を持って生まれてきた子供を巡る主人公の葛藤を描いた小説。
生まれてきた自分の赤ん坊の脳に障害があり、そのことで主人公は様々な葛藤を強いられる事になる。
赤ん坊の対応を巡って主人公が経験する様々な苦悩が描かれている。
赤ん坊が自分の人生の足枷になるから、衰弱死を装って殺してしまおうと考えていたり、目の前の問題を投げ出して、退廃的な生活に溺れてしまう主人公の様子が、精密な心理描写とともに描かれていて話に引き込まれた。
この小説は、なんというか人間の道徳観とか倫理観といったものが良い意味でも悪い意味でも生々しく描かれていて、読んでいて後ろめたい気持ちになる事も多いのだけれど、不思議とどんどん読み進めることができた。